第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
取り戻したい宝は、プレーンチョーナンの頭上に見えているというのに……あと少しなのに……
神様は、このゲームを簡単にはクリアさせてはくれないらしい。
「……?!」
「あれ?ナス子起きてたのぉ~?ふぁ~……」
目覚めたプレーンチョーナン。
説明しよう!
この男、第長男六天王は仮の姿……
その正体は、五人の天王の上に立つ、大魔王・おそ松だったのである!
「つ、ついに目覚めたか悪の大魔王!昨日はよくも恥をかかせてくれたな!!ここで会ったが百年目、覚悟━━━━!!」
ナス子は勇者になりきり魔王おそ松に襲いかかるが、振り下ろした手刀はいとも簡単に止められてしまう。
おそ松はくだらない物を見るように目を細め、口を閉ざしている。
「く……やるな、魔王おそ松……!だがしかし私は屈しないぞ」
「あ~??お前さっきから何言ってんの?意味わかんねぇんだけどぉ~」
眠そうな、呆れた目がナス子に向けられる。
その視線に、一人でノリノリだったRPGごっこの盛り上がりがしゅん……と冷めていく。
そうなると目の前の人物に対してまたふつふつと怒りやら恥ずかしさやらが湧き上がってきて、思わずゴスっとおそ松を殴りつける。
先ほどは攻撃を防いだが、今回の一発は避けられなかったようだ。
「アンタね……昨晩私にあんなことしておいて、よくそんな態度がとれますねぇ~~~?!」
「はぁ?昨晩……?……俺なんかした?酒飲んで寝ちゃっただけだろぉ?」
「え……?」
予想していなかったおそ松の言葉に、思わず唖然とするナス子。
「いやぁ~、何にも覚えてないんだけど。マジで。もしかして、俺お前になんかしたの?」
「………………はぁぁぁぁぁあ?!?!」