第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
「癒される、世の全ての人間が猫になればいいのに」
お茶を啜りながら二人でミケ子に釘付け。
どことなく笑顔を浮かべる一松を見てこちらは猫に弟にとダブルで癒された。
「確かにそれはいい案だね。でもそしたらウチらも猫になるよ?」
「それもそれでアリありなんじゃない」
満更でもない表情だ。顔がうっとりしている。
二人でミケ子をじっと見ていると、突然一松が話題を戻してきた。
「・・・・・ねぇ」
「ん?なに?」
「ナス子ってさ、もしかしてクソ松の事好きだったりするわけ?」
「は?・・・・なんでそうなるの」
「だってそうでしょ、普通自分の家のスペアキーをほいほい人に預けるか? しかも相手は成人してる男なんだからさぁ。 危機感もないし。いくら相手があんなヤツだとしても仮にでも何かされたらどうするつもり? あ、俺はお前相手に何もする気起きないけどね」
おい、お前ら揃いも揃って同じような事を。
私もれっきとした女子だぞ、とは思うが別にそれはその扱いで正解だ。
心配はしてくれてるしなぁ。
女性扱いされ慣れてないし、されない方が楽だし。
たまに優しくしてもらうと少し無ず痒かったり照れたりちょこっと嬉しいとか思ったりもするけど。
心の中で突っ込みを入れて黙ってると私の目をちらりと横目で見た一松がまた口を開く。
「黙ってるって事は図星? ナス子も趣味悪いね。やめた方がいいんじゃない? イタイ思いするだけだよ」
「あ、違う! 今違う事考えてただけで全くこれっぽっちも一ミリたりとも恋愛感情なんてもってないよ。
カラ松を特別扱いしたのは優しいし家事全般手伝ってくれるからだってば!」
慌ててカラ松への疑いを全否定する。
あらぬ疑いをかけられたらカラ松も迷惑だろうし私も困る!!!
「そう・・・ならいい」
無表情のままだがどこか安心したのか再度猫に視線を向ける。
これはきっとあれだ、お姉さんへの独占欲ってヤツだな・・・可愛いなおい。
それともあれか!普段あんな酷い扱いをしてる癖に実はお兄ちゃんの事大好きで私に取られたくないとか?!
どっちにしてもキュンキュンするんだけどぉおおお?