第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
でもここで一松も使っていいよ、とか言えば結局また6つ子全員共用になってしまうのではないだろうか。
困ったなぁ、別に一松も使ってくれていいんだけどね。
うちに来て迷惑かけるとかあんまりないし。
けど一松がスペアキーを持つとカラ松に渡してくれる事は絶対ない気がする。
それは困る、洗濯的な意味で非常に困る。
私が頭を抱えていると、一松の膝から子猫が飛び降りニャーと鳴いた。
「あぁ、よしよし。お腹減ったの?」
私への態度とは変わってヤツは猫にはとても優しい。
そういえばなんでこの子をウチに連れてきたんだろ?
「ナス子姉、いつものある?」
猫を撫でながらこちらに視線を向ける。
一松の表情も少し和らいだ。子猫様様である。
「あ、猫缶と煮干しなら用意してあるよ。でもこの子猫缶食べれるかな?」
よく二人で裏路地に行ったり、たまにこうやって 一松が猫を連れてくるので、猫缶と煮干しは常日頃から常備している。
ちなみにオモチャもある。
「んー、とりあえずお湯でふやかして柔らかくする。ほぼミルクしか飲まないかもだけど・・・ん、宜しく」
言われて立ち上がると猫缶を取り出し少し温めたミルクも注ぐ。
まさか子猫が登場するとは思っていなかったので人間用で応急処置。
ごめんよー。
ついでに私達のお茶も入れて戻ってきた。
「はーい、ミケ子、たんとお食べー」
ご飯を出すと無我夢中でミケ子はご飯を食べ始めた。
「ミケ子?なにそのダサい名前」
「わかりやすいからいいじゃーん!名前あった方が呼びやすいし。」
ネーミングセンスには自信はないが、名前を呼ぶとご飯を食べながら「ウニャウニャ」言っているので一松もそれを見て仕方なく納得してくれた。