第31章 危険な香りの温泉旅行 危険すぎる温泉旅行
毎度毎度同じように争ってからに.............!なんて言える空気でもなく、キスも自分からした訳でもない。
しかしなんとなく、流れ的にそうなってしまった事は自分にも非があったように思えて困り果てて俯くと言いづらそうに口を開く。
「だ、誰って・・・私は別に誰とも・・・」
「誰ともぉ?!俺たち六つ子なら誰でも良かったってぇの?!そんな尻軽女だったの、お前」
おそ松が一向に肩に手を回したままナス子に絡み倒してくるが、そのおそ松を無理やり引っ剥がすと、反論したかったがどう反論していいかわからず、一言文句を言った後モゴモゴと言葉を続けた。
「そういう意味じゃないって!でも・・・ホラ!誰でもいい訳じゃないから、こういうのはやっぱり好きな人同士でするものでしょ?!」
「じゃあ、お前はこの中で誰が好きなんだよ?」
酒を飲んで酔っ払ってたハズの六つ子達はその一瞬のおそ松の言葉に急に真顔になると同じ顔、同じ目をしてナス子を見た。
「はいー?なんで選択肢がここだけなの?!」
「だって俺以外ともキスしたんだろ?てことはこの中の誰かに本命がいるって事になるよね?!言えよぉ~」
「待って、ぼくはしてないから!ぼくだけ選択肢の中にすら入れないのっておかしくない・・・?ナス子姉、ぼくにはキスしてくれないの・・・?」
「は?」
「だって他の兄さん達とはしたんでしょ?ズルイよ・・・ぼくばっかり仲間外れだなんて・・・ぼくは姉さんの事こんっなに大好きなのに・・・末っ子だから?だからぼくとはキスしてくれなかったの?」
つい先ほど、相手はナス子姉だよ、と言うドライ発言をしたトド松の事をナス子はハッキリ覚えている。
なのにどうしてこうなった・・・?
末っ子トド松の意見を聞くと、仲間外れと言う発言になんだかこちらが悪く感じてしまう。
とはいえ酔っ払い相手に話は通じないだろうと思うとその場から立ち上がり数歩下がる。