第31章 危険な香りの温泉旅行 危険すぎる温泉旅行
「目を覚ませチョロ松!!悪酔いしないでよー!」
「フッ、諦めるんだシスター、チョロ松がこうなってしまった以上もう誰にも止める事なんて出来はしないさ」
「チョロ松にこんなに飲ませたの誰よ?!」
「はいは~い、おっそまっつで~す!」
ナス子のスマホを窓際のソファにポイ捨てするように投げると、おそ松がテンションよく元の席へとニヤニヤしたまま戻ってくる。
「やっぱりお前か・・・!この悪の権化め!!」
「じゃあ、ナス子に日本酒飲ませた俺も悪の権化って事だね・・・ヒヒッ・・・別にいいけど」
「ビールおかわりーいただきマッスル―!!!」
「あ、それぼくのだよ十四松にいさん!」
あぁ、うるさい・・・。
さっきまで皆寝てて大人しくて静かで最高だったのに。
ナス子は目の前にあるオレンジジュースを手に取るとそれをチビチビと飲む。
酔った連中は無視しようと決めながら、とにかくオレンジジュースに夢中になろうとしている。
がしかし、そんなナス子を六つ子が放っておくハズもなく、やはり絡んでくる。
「あれ~?ナス子は飲まないのかよぉ?」
オッサンのように肩に手を回しくっついてくるのはおそ松だ。
顔を赤らめて既に息も酒臭い、その匂いすらもナス子は苦手で頭がクラクラした。
「おいぃぃ、離れてよ酒臭いんだからっ!お前はおっさんか!!」
「え~、いーじゃん別にぃ、ナス子俺の事好きだろ~?」
「何言ってんの急に、別に好きじゃないですけど?!」
酔っ払いはチョロ松だけでなく六つ子全員が共通で性質が悪い。
飲むとすぐ調子に乗り、気が大きくなる。
ナス子は無視をキメていたかったが、他の兄弟達の発言もそれを無視させてはくれなかった。