第31章 危険な香りの温泉旅行 危険すぎる温泉旅行
旅行二日目の夜。
今晩の夕食もとても豪華で、色とりどりの美しい料理達がテーブルの上に所狭しと並べられている。
猿の件で少々全員疲れていることもあり、夕飯の後、もし酔ったりなんだりしていつ寝てしまってもいいように、仲居さんに布団も全員分先に敷いてもらった。
こんな時、特別室は部屋食を取る部屋と、布団を敷く部屋が、隣り合っているとはいえ、それぞれちゃんと広さがあって便利だなぁと、ナス子はそんなことを思っていた。
昨日は一松に酒を飲まされたせいで、ろくに夕食を食べられなかった事もあり、今日こそはと夕食を綺麗に平らげ満足すると、ナス子は早速畳に寝転がりスマホのゲームをしている。
一方六つ子はと言うと、今日もまた宴会である。
既に食事は片づけられた後だが、楽しそうに日本酒やビールを煽っている。
「だーっ!酒飲むと一段とうるさくなるんだからコイツらはー・・・」
ゲームに集中したいナス子は、後ろで騒ぐ松達を無視しようとイヤホンをつけようとするも、お決まりのようにヒョイとスマホを取られる。
酔った顔でナス子を見るとニヤリとおそ松が笑っていた。
「ちょっとー!!食後のゲームくらいさせてよぉ」
「お前な~、食ったばっかで横になると牛になるって言うだろぉが。ゲームは後にして、俺たちと一緒に遊ぼうぜぇ?あ、牛じゃなくてカピバラになったんだっけ??だーっはっはっは!」
「ムっっカつく、酒入ってても変わらずムカツクわぁ~!むしろいつも以上にムカつくわー。てか今アイテム使ってレベル上げ中なんだからそれ返してよ!!」
お決まりの攻防戦を繰り広げ、いつものように手の届かない位置までスマホを上げられると、もう面倒臭くなり諦めたようにナス子は皆のいる席に戻って行く。
この旅行中、ゲームがあまりやれていない事にションボリしてしまう。
「私酒飲めないし、盛り上がるにしてもこんな変な人達についていけないんですけどぉ~」
「おいクルァ!変ってなんだ変って!!俺は別に普通で真っ当な常識人なんだけどお〜?!」
グロッキーの時とは違い、酔ったチョロ松は性質が悪い。
そして口もより悪い。