第29章 危険な香りの温泉旅行 たまにはお姉ちゃん?
自分の順番とわかる否や、呼んで欲しそうにこちらの動向を伺いはじめている。
その姿に可笑しくなってしまうと、途端にイタズラ心が顔をだす。
「・・・」
声をかけて呼んであげるべき所でも、何も言わず惚けたりてみせる。
カラ松はそわそわして貧乏ゆすりを始めた。
口元は笑っていて、目だけがキョロキョロと動く。
「・・・ふわぁ、これで皆終わったねぇ、さて私も寝ようかなぁ」
おそ松が一向に寄りかかったままなので身動きは出来ず、そのまま目を瞑り眠ろうとする。
「?!!?!」
そして愕然とするカラ松の顔を瞑った目を軽くあけて横目に見るナス子はフフリと笑い、カラ松を呼んだ。
「冗談だよ、カラ松。ちゃんと順番待っててくれたもんね!」
「・・・と、とうとう俺の出番が来たようだな、めくるめく夢のシエスタタイム、共に堪能しようじゃないかぁ」
意味不明な事を抜かすと、スタスタとナス子の前へ向かい何故か目の前で正座した。
どうしても自分から行くのが恥ずかしいようだ。
「カラ松、おいでよ」
「し、しかし・・・」
甘え下手のカラ松は顔を真っ赤にして狼狽えている。
自分も膝枕じゃんけんに参加しておきながらどうしたもんかと考えているらしい。
「ごめん、本当は私から引っ張ってあげたいんだけど・・・後ろのおそ松が邪魔で・・・」
「・・・そんなクソ長男は放っておけばいいじゃないか」
若干いじけたように応えるカラ松は可愛い。
動物園であんなにカッコよく見えていたのが嘘のようだ。
「まあ、そうなんだけどさ・・・今日くらいは皆に甘くさせてよ、ね?」
「・・・・・・わかった」
返事の後一息吸って、カラ松は覚悟を決めてドスリとナス子の膝に頭を寄せて横になる。