第29章 危険な香りの温泉旅行 たまにはお姉ちゃん?
「カラ松も、今日は本当にありがとう。皆の事、カッコイイってさっき言ったのは本当だよ?」
「ハハハ、俺はいつでもカッコいいのさ、やれやれナス子も俺のクールガイな所にもっとトキめいてくれてもいいんだぜぇ?・・・あ、ちょっと待てシスター、それは・・・っ」
横になっているのに何故かサングラスをかけたままの状態のカラ松の物をナス子が勝手にとると、やっぱり顔は赤くなっていた。
それを見て素直じゃないなぁとまた笑みが漏れる。
皆にしたようにカラ松の頭にも手を添えた。
「私が叫んだ時、すぐに駆け付けてくれたよね」
「ああ、中々フードコートに戻らなかったお前が心配になったからな、様子を見るために行ったんだが・・・まさかあんな事態になろうとは・・・」
「私もですぜ旦那、あんな恐ろしい事態は本当にごめんだわ」
「だろうな、だがしかしナス子に怪我がなくて安心した。本当ならもっと早く助けたかったがな」
「フフフー、カラ松はいっつも優しいよね。いっぱいフォローしてくれるし、何かあったらすぐ助けに来てくれるし、子供から見たらヒーローみたいなんじゃない?」
「ヒーロー・・・?お、俺が?」
「うん、だって、私は子供じゃないけどさ、同じ事思ったもん」
「・・・っっ、そ、そっそ、そうか!では次はヒーローから変わりお前だけのナイトになってやらなくも・・・」
ヒーローと言う言葉が嬉しかったのだろう、カラ松の顔が途端に緩み、今度はイタイ台詞を吐き誤魔化そうとしている。
「ありがとうカラ松」
「ん?お礼はもう聞いたハズだぞ?」
「いいの、ありがとうは言われて嬉しい言葉だから」
「・・・・・・そうだな」
そう言うとカラ松は体勢を変えてナス子の顔と向き合う形で両腕を頭の後ろに組み寝転がったまま天井を見る。
カラ松の頭の中には先ほど泣きじゃくるナス子の姿が思い出されていた。
「もう、怖くないからなナス子」
「え、なんの事?」
「怖い事があったら、俺がお前のナイトとして守ってやるさ」
「またそうやってイタイ事言って・・・」
イタイの意味はまだわかっていないカラ松だが、ナス子の表情がフワリと笑ったのを見ると、安心したかのように片手をナス子の頬に添えた。