第29章 危険な香りの温泉旅行 たまにはお姉ちゃん?
「じゃー、見なきゃいいだろ?はぁ、この肉付きが気持ちいい・・・」
「おそまぁつ?それは私の太ももが太ましいとでも言いたいのかなぁ?てか、くすぐったいから足の間に顔を埋めるな!スリスリ擦りつけるなっ」
「膝枕くらいで文句言うなよー、たまには甘えてもいいでしょ?オネーチャン♪」
「……ぅ」
弟の顔を出されるとつい甘くしてしまう。
おそ松をひっぺがそうとしていたチョロ松とトド松にもういいよと合図し、おそ松には大人しく膝枕をする事にした。
「あ~疲れたなぁ、今日は疲れたー、本当疲れ・・・」
「わ、わかった!わかったから!今日は皆本当にごめ・・・」
言いかけて止まる。
十四松の温泉の中での発言を思い出すと、こういう時は・・・
「今日は皆、本当にありがとう・・・嬉しかった」
ごめんね、じゃなくってありがとうで返す。
「フ、ナス子があんなに泣いて俺に縋りついて来るとはな・・・相手が猿とは言え感謝だ!俺に惚れてもいいんだぜぇ?」
「縋りついて泣いた?ナス子が?泣いたのは知ってたけど、そんなに緊迫した状況だったんだ」
チョロ松がまたも心配そうな顔をしてナス子の顔を見る。
「いやぁ、だってあんなデカい猿が襲ってきたらやっぱ怖いじゃん。カラ松が私の所に来てくれた時に安心して号泣しちゃったんだよねぇ、お恥ずかしい限りで」
「フフン、いつでも泣きたい時は俺の所に来るといい。女の涙ある所にこのカラ松あり!全世界のレディを俺の熱いハートで包み込んでみせるぜぇ」
「それ熱苦しいだけだから。おそ松兄さんいいなぁ、ぼくも膝枕されたいなぁ~」
カラ松にウザイとでも言いたげな視線を向けた後、長男の膝枕を見てトド松は羨ましそうに聞こえるように呟く。
「お前は前にしてもらってただろうが」
「えぇ?そうだったかなぁ?」
動物園の事があり、今日一日だけでも六つ子達に優しくしようと思っていたナス子はトド松を見ると軽く笑顔を向ける。