第29章 危険な香りの温泉旅行 たまにはお姉ちゃん?
十四松との一件にプンスコしながらナス子は急いで部屋に戻った。
「全く、十四松はタッティ―タッティ―って・・・ふんぬ!ふんぬっ!!」
気づくと十四松がよく怒っている時に使う言葉がうつっている。
無自覚である。
「ただいま!」
部屋に戻り、中の襖を乱暴に開ける。
気づくと私服だった皆もすっかり浴衣へと着替え、入浴後のいい匂いが部屋中に広がっていた。
「あー、皆も温泉行ってきたんだ。またすれ違いにならなくて良かった~」
「あ、お帰りナス子。僕らも丁度さっき温泉から出た所だよ。まぁ、別に部屋の鍵なかったとしても、仲居さんとかに頼めばいいんだし大丈夫でしょ」
「それはそれで面倒なんですぅ~」
畳にそれぞれがゴロゴロと転がっている。
今日は皆お疲れモードだ。
「はぁ~・・・眠ぃ、暇~、誰かお兄ちゃんに構って~」
おそ松は畳の上で転がりながら、眠いのに遊びたいという衝動に駆られているようだった。
「おそ松、眠いなら寝ればいいのに。夕食になったらちゃんと起こしてあげるよ?」
「ん~、じゃあナス子こっち来いこっち」
「?」
おそ松に呼ばれると、言われるがままおそ松の隣へと座る。
するとおそ松は寝転がったままナス子の腰に抱き着き、足の間に顔を突っ込もうとしてきた。
「わっ、おそ松!このド変態!!離れろっ」
しかし強く腰にしがみつくおそ松の手は一向に緩む事がない。
浴衣の上から、足の間に顔を押し付けスリスリしている。
「な、何をしてるんだおそ松!!シスターが困っているじゃないかっ」
「あ!ちょっと抜け駆けはズルイぞ腐れ外道ーーー!!!」
それを見ているカラ松とトド松が文句を言いながらおそ松を引っぺがそうとするも中々しつこい長男は諦めない。
「あぁ?いーじゃん、俺今日頑張ったよぉ?膝枕くらいしてもらったってよくなぁい?」
「その体勢、膝枕じゃないよね?どう見てもセクハラだから」
ジトっとした呆れた視線でおそ松を見下ろすチョロ松に
「あのさー、そういうのは余所でやってくんない?見たくもないんだけど・・・」
一松も続いて喋る。