第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
ミャァ~
可愛い鳴き声が聞こえコタツの布を持ち上げて中を確認すると、中には一匹のミケの子猫が気持ちよさそうに寝ている。
なんだこれ天国か?
めちゃっくちゃ可愛いんだけどぉおお??
どう見ても生後2~3ヶ月くらいだよねこの子、一松ったらこんな可愛い子といつの間にお知り合いに?
しかもお持ち帰りとかしちゃって、リア充にでもなったつもり?!
「かっ、可愛い!! くそ萌え死ぬ、私のHPギュンって回復して可愛さでギュンって減った気がする」
「だろ? ナス子は子猫に魅了という術をかけられたね」
そしてヒヒと笑いながら満足そうな一松の笑顔。
「うん、ヤバイね。誰か私にかかった魅了の術を解いてくれるヒーラーを探さないとぉおおお。もうアニマルセラピー最高ですわぁ。自律神経安定するぅ~v」
「あぁ、無理だね。俺もソイツから受けた魅了呪文は解けてない」
コタツの中に顔を突っ込み足をバタつかせて眠っている子猫に締まらない表情を向ける。
どうやらこの魅了の術は解けないやつだ。きっと。
ウチのマンションはペットもOKなマンションなので動物がいたとしても怒られない。
そのため、たまに一松が猫を連れ込んでくる事がある。
今日は特に別嬪さんで一番若い子を連れ込んできた。
「はぁ、癒されるなぁ。仕事の疲れも吹っ飛ぶなぁ。なんかもう今はこの子を見ていればなんでもどうでもよくなってくるー」
トロンとした目と口調で自分がしなくてはならない事を放棄している。
しかーし!私はお決まりのあの言葉だけは確認して聞かなければならなかったのだ。
コタツから出ると自分の両頬をパァンっと思い切り叩き
少しでも魅了を覚ます。
私の行動にビックリした一松が体を微かに跳ねさせて私を見た。
コイツ一体何やってんだ?という表情。
ポカンと口を開けて目を見開いている。
「なに急に・・・頬真っ赤だけど・・・手形ついてるよ」
「よし、我が授かりし力で魅了を解いた! 私は現実にいる古の魔法使い…」
「それ随分と力業の解き方だよね、魔法じゃないし。ていうか突っ込みは俺の専売特価じゃないんだけど」
「いいの!これも現実で使える魔法の一つなの。突っ込みは仕方ないじゃない、今チョロ松もトド松もいないし!別に突っ込まなくてもノってきてくれてもいいのよ?!」