第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
「はへ?」
口から間抜けな声がでた。
あぁ、そう言えば一松はドS兼ドMだったな。
でも私にはそんな趣味は全くない。
「いやぁ、ごめんって! まさか一松のデコに私の拳がクリーンヒットするなんて思わないじゃん! ほら、夢ではスラ松どもと戦ってたワケで・・・」
ジリジリと部屋の隅に下がる私にこれまたジリジリと詰め寄ってくる一松。
な、なに?怖いんだけど・・・私に仕返しでもするつもりかぃ?
「ひぃっ、暴力反対っ、虐待反対っ! ストップ ザ 一松!!!」
「は、何言ってんの? 暴力? 虐待? そのクソ松みたいな言い方もやめろよ胸糞悪ぃ…仕返しでもしてほしいの? いつの間にナス子姉もそんなに欲しがりになったわけ?……ヒヒっ
じゃぁ、俺の顔につけた傷の責任でもとってもらおうか……ほら」
少し怯えた目で一松を見上げると、前髪を上げて私にデコを近づけてくる。
・・・あ、これ撫でろって事か。
相変わらず紛っらわしい!!!素直に撫でろって言えよー。
「・・・・・」
無言で一松のデコを撫でてやると、気持ちよさそうに目を瞑る。
私の手に額と頭を擦りつけ、大きい猫はお前なのではと錯覚する。
これが猫なら喉からゴロゴロと声が聞こえるんだろうなぁとか思いながら、本人の気が済むまで軽くデコと頭を撫でた。
「………〜〜っ、も、もういい」
暫くすると自分の行為が恥ずかしくなったのか、膝をかかえて体育すわりになるとそのままそこに顔をうずめた。
「? 何急に恥ずかしがってんの? 今更の仲でもないんだし、お姉ちゃんは甘えてもらえてうれしいよ~? ほらほら、もっとこっちにおいでよ~」
ニヤニヤ顔で一松を見やると、更に深く顔を隠して「はっ、別に甘えてなんかないし」ともごもご口を開いた。
素直じゃないねぇ、この弟は。ま、そこも可愛いんだけどさ。
寝室から起きて一松の服を引っ張るとリビングへと導く。
二人でコタツに向かい合って座った時、コタツの中に違和感を感じた。
「うひゃっ、足になんかあたった! モフって! モフってーーー!!」