第28章 【微エロ】 危険な香りの温泉旅行 十四松は神出鬼没 十四松
「え?」
「だってボクらは姉さんが心配でやった事だけど、勝手にやったんだし怪我もしたけど楽しかったよ!それに、そもそも悪いのは姉さんじゃないでしょう?」
~~~~~~~~~~いい子ぉぉっぉぉぉぉ!
「姉さんはさ、普段謝っちゃう癖があるよね。ボクいつも見ててそう思ってたんだ。でも素直じゃないから、一松兄さんみたいになっちゃう時もあるよね」
十四松は喋りながらパシャりと水鉄砲を作り遊び始める。
まさか十四松が普段そんな事を考えていたなんて驚きだ。
しかも自分の癖までよく見てくれていた事に目を丸くする。
「一松に似てる?」
「うん、思ってる事を素直に言えない所とか」
少し距離はあいているが、こちらに向けられるフワリとした十四松の表情は優しそうにニコリと笑顔を向けた。
「そうなのかなぁ・・・自分ではよくわかんないや」
「癖って難しいね、姉さん。ボクは馬鹿だから、いっつも自分がどうすればいいかとか、皆がどうしたら喜んでくれるとか、そういうの全然わかんない」
「十四松・・・」
「でもやっぱり、笑ってた方が楽しいでしょ?だからボクはいっぱい笑う事にしてるよ!ほらっ」
そういうと今度は見慣れたいつもの笑顔に表情を変えた。
「どうしたの十四松、なんか今日はマトモ・・・じゃなくて様子が違うね」
いつもと雰囲気の違う十四松に躊躇うも、これも十四松なんだと思い、顔を離れた所から覗き込む。
「いつものボクもボク、そんで、これもボクだよ!」
「深いねぇ~」
「へへへ、深いッスか?アザーッス!!!」
ナス子は十四松を真似するように、同じく水鉄砲を作る。
だが上手く十四松のように勢いをつけて飛ばせない。
「ん~?同じ指でやってるハズなのに何で上手く飛ばないんだろう」
「姉さんは不器用だからね!!昔から!!」
「十四松に言われるとなんか悔しいっ」
「えー?!!」
ナス子が言うと、十四松がジャブジャブと水音を立てて隣へと近づいた。
一瞬ギョっとしたナス子であったが、相手が十四松という事であまり警戒はしていない。