第28章 【微エロ】 危険な香りの温泉旅行 十四松は神出鬼没 十四松
「な、何でアンタがこっちの温泉入ってるの?!昨日入ったんだし男湯に入るんじゃ・・・」
「そうなの?昨日こっちのお風呂が気持ち良かったからまた入りに来ただけだよー・・・あの、姉さん」
「え、なに?」
「た、タオル巻いてもらってもいっスか?」
赤面しているナス子に、十四松も赤面する。
タオルを手にしているにも関わらず、何故か手で己の身体を隠していたナス子は慌ててタオルを広げて体の前面を覆う。
居心地悪そうにする十四松に、ナス子の顔は更に真っ赤になった。
そういえばとナス子は思い返す、入り口にはスリッパはなく誰も入っている気配はなかったのに、何故この男がこの風呂に騒ぎ立てる事なくゆっくりと風呂に浸かっているのかと・・・。
「十四松、スリッパ履いて来なかったの?」
「うん、気づいたら履くの忘れてたぁ、あははは」
「・・・」
「・・・」
そして流れる気まずい沈黙。
「姉さん、とりあえず・・・入れば?風邪ひいちゃうよ?」
十四松に言われ、もう出るのも面倒なので言われるがまま体を流して風呂へと浸かる。
タオルを巻いたまま入るのはルール違反なので、しっかり肩まで浸かってから巻いたタオルを外す。
混浴の露天は濁り湯のようだ。
よかった・・・とナス子は少し安心する。
十四松は弟だと心の中で復唱しながら・・・。
「ふ~今日は大変だったね、姉さん」
「う、うん。十四松も大変だったね・・・えっとごめんね」
「なんで謝るのー?」
「だって私の所為でそんな怪我しちゃったし・・・だから」
「ん~?」
十四松はナス子に謝られるとキョトンとした表情を作り首を傾げる。
申し訳なさそうに十四松の傷をチラチラ見て下を向くナス子を見ると、十四松はいつもの顔でニパリと笑う。
「姉さん、こういう時はありがとう!でいいんだよ?」