第27章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました カラ松
脱走した猿の事を園内のスタッフに伝えると、カラ松ナス子、他それぞれも別の場所へと走りだした。
「さっき会ったばっかだしまだ遠くには行ってないかも・・・」
「そうだな、だが猿は素早い。念の為他の場所でも注意は必要だぞナス子、またどこで襲われるかわからないからな、俺から離れないようにしてくれ」
そういうとカラ松はナス子の手を引き二人はそのまま手を繋いだ状態で近くの茂みや物陰を探す。
いつも以上に頼もしく、イタサが全くない。
そんないつもの物凄くイタイカラ松も可愛いのだが・・・。
今日のカラ松は可愛い弟と言うより、男の人のように見えた。
ナス子はひっそりとカラ松にドキドキしたが、それは多分弟の成長に感動しているんだと内心で強く思い込む。
寧ろ言い聞かせているようにも感じた。
危ないからと、ナス子の手を放したカラ松は、必死に茂みをかき分け真剣な顔でキョロキョロとする、その横顔はとてもカッコよく見える。
服装以外は、だ。
これが吊り橋的な効果なのだろうか・・・、ナス子はこの発生イベントのような物に頭がおいつかない。
猿より、財布よりも・・・意識がカラ松に向いてしまっている事に首をブンブンと振った。
「ナス子、さっき見たと言う猿だが大きさはどのくらいだったんだ?」
「うんと多分このくらいかな?」
手で先ほどの猿の高さを言う、だいたい60㎝くらいの大きさだった。
「そうか、相当大きな猿だったんだな」
「うん、見るからにガッシリした体してたよ」
そしてまたも先ほどの怖い感情を思い出しまたブルリと震えが入る。
カラ松はそのナス子の仕草に即座に気づくと、またナス子の手を握り、心を静めさせようと頭を優しく撫でた。