第27章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました カラ松
「猿?先ほどのアナウンスの事か?女子トイレに猿が出たという事か・・・?!」
「う・・・ん・・・」
「よし、お前はここで待っていてくれ」
ナス子を優しく放し、肩をポンと叩くとカラ松は女子トイレへと向かおうとする。
「あ、も、もう・・・いない」
「そうなのか?」
「私に襲いかかった、あと、行っちゃった」
「襲われただと?!」
未だ立てないナス子に向かいもう一度腰を落とすと、カラ松はナス子の両肩を強く掴み体を確認しながら口を開く。
「大丈夫か?噛まれたり引っかかれたりしていないか?怪我は?!」
「だい、じょうぶ。なんか腰にしがみつかれたけど、すぐ窓の外に出てっちゃった・・・」
久し振りのナス子の泣き顔を見たカラ松はその表情に堪らなくなるともう一度強くナス子を抱きしめる。
「怖かったな、助けてやれなくて悪かった」
「うぅ~・・・」
暫く二人でこの状態が続いたが、やっと足腰が立てるようになったナス子はフラフラとしながらカラ松に支えられると、皆の元へと戻って行く。