第27章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました カラ松
そして昼の出来事。
皆で中のフードコートに寄ると一つのテーブルに着き食券を購入する。
ナス子は外のトイレへと立つと、女子トイレの中で思わぬものと遭遇する事になった。
個室で用を済ませ、扉を開けると入り口にそれはいた。
「・・・・・・え?」
一匹の大人の日本猿だ。
「な、なんでこんな所にサル?私の親戚ですか?って違うでしょっ」
ナス子と猿の距離約3m。
なんで檻に入ってないのこの子、この動物園猿を放し飼いにしてるって事ぉ?!
大き目の猿が目の前にいた事に驚きあまり刺激しないよう心の中で喋る。
すると園内に丁度よくアナウンスが流れた。
~ピーンポーンパーンポーン♪~
『ただいま、園内の日本猿が檻から脱走し行方を捜しております、気性が荒いため皆さま発見、目撃した際には近づかないようご注意下さい。なお、発見後は当園内係員までお伝えください、繰り返します・・・━━━━━━━━━━』
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・気性が荒いとかマジすか・・・知らせようにも目の前にいるから無理だし、近づくなっていっても既に近くにいたんですけど~?」
猿の様子を伺いながら小声で声を上げると、なんとか猿の隙間をぬって外に出ようとする。
そのナス子を見た猿が威嚇の声を上げた。
「・・・・・・ひっ?!!」
さすが気性の荒いと言う猿である。
しかも檻の外に出て余計に緊張モードに入っているのか、その表情はとても穏やかでない。
「勘弁してよぉ~」
スマホでトド松に助けを求めようにも、肝心のスマホは今朝から充電切れである。
普段あんなにスマホを弄っているのに、緊急事態にこんな事になってしまうとはツイてない。
「ワタシナカマ・・・バナナ、バナナスキ・・・ウホ」
なんとか交流を試みて猿の緊張を解そうとしみる。
しかしやっている事は猿と言うよりゴリラの動きで、口から出た言葉はもう普通に人の言葉だ。
クワッ━━━━━━━━━━!!!
「ぎゃああああああああああああぁっぁぁぁぁぁ!!!」
突如また猿に威嚇されると今度はナス子の方へと全力で走ってくる、そしてナス子の腰までしがみつき、一瞬の速さでまた体から離れた。