第27章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました カラ松
トド松の意見に、全員でカピバラがいる一角へと近寄り観察する。
カピバラは動かない。
隅っ子にいるカピバラ達は全く動く気配はなく、ずっとボーっとした様子で眠たそうに停止している。
たまに動いたと思うと足元の草を食べたり寝ころんだりと自由だ。
「あぁ!確かにチンパンジーにも似てたけどこの動きはいつものナス子だなぁ、お前もうこの動物園入れんじゃね?」
「黙らっしゃい!カピバラ可愛いくて好きだけど似てるって言われるとビミョーなんですけど?!あ、もしかしてあの愛らしい目とか顔が似てるとかそういう事?」
「ポジティブすぎじゃない?・・・どう見てもカピバラの行動とか生活姿勢が似てるって事でしょ」
ナス子のポジティブを一松が全否定する。
チャラララ~♪
―ナス子はチンパンジーから進化しカピバラになった―
やったぜ!・・・いや、よくない。
「く、言い返す言葉が出てこない!!!!」
日頃グータラ生活を送るナス子は愛しのカピバラを見て喜んでいるものの、似ていると言われると自分の私生活に重なるものを感じて俯く。
悔しさを感じているがなんとも言い返せない状況である。
「図星をつかれたからでしょ」
「煩いチョロ松!このぉーっ」
「うわっ、掴みかかるなよお前っ」
どう言い返していいかわからなくなったナス子は暴力で訴える事に決めたらしく、チョロ松に掴みかかった。
もう年上のお姉さんがやる行動ではない。
「だだだ、大丈夫だ!カピバラでもいいじゃないか?愛らしいしな」
チョロ松とナス子を見て笑う兄弟達であったが、カラ松だけは冷静さを失ったナス子を隣でどうどうと宥める。
「ガルルルルルル・・・!」
「大変だ、皆!とうとう姉さんが人間から野生に覚醒したよ!!」
「いや、野生に覚醒ってなんだよトド松!いいから助けろよお前ら━━━━━━━━━━!!」