第25章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました
「化粧してもしなくてもあんま変わらないんだからいいじゃんね?ねぇ、カラ松??」
「え、あ、ああ、そう、だな…?だが俺はその顔もキュートだと思うが」
すっかり顔がぶすくれているナス子にカラ松は頑張って声をかける。
言ってる事も本心だ、化粧をしてても化粧をしてなくてもナス子はナス子だとカラ松はいつも思っている。
確かに自分もナス子にダメだしをする時はあるが、それはナス子を女子として心配しているからこそ。
他の兄弟達とは違い、カラ松は優しいのだ。
「甘やかすなよカラ松~、コイツおだてたって調子に乗るだけだぞ?」
「そうそう、ちょっと優しくするとすぐ付けあがるからね、ナス子は。そのせいで僕はしょっちゅう足代わりとして荷物持ちにされてる訳だし」
「ナス子姉はまずそのだらしない性格から変えた方がいいかもね~、そしたらちょこーっとだけでも女の子みたいになれるかもよ?ぷぷっ」
後ろの席には、ナス子にとって物凄くブチのめしたい3人が並んで座っている。
またもいらんガヤが入ると、カラ松が一生懸命褒めてくれた事が無駄になり更にナス子の顔は渋くなった。
「お前たち、いい加減にしないか。ナス子だって俺達のファミリーだろ?もっと大事にしてやるべきだ」
イタイグラサンを付けながらも、言葉はとても頼もしい。
さすが次男坊である、とナス子はカラ松を見て思ったが、その後ろの長男はまるでダメダメなクソ人間であるとも思っている。
馬鹿笑いをしながら後ろで盛り上がる締まりのないおそ松の顔を見ると、いつものようにナス子は長い溜息がただただでた。