第25章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました
「ナス子、お、俺はそのぅ・・・化粧をしてないお前でも十分魅力的なレディだと思っているぞ!」
嫌だ嫌だと拒み続けたが、結局嫌いな化粧をさせられる事になったナス子は車の中で不機嫌である。
化粧するだけならともかく、おそ松とチョロ松に至っては普段の自分のグータラな所をどんどんダメだししてくる始末。
それを聞きながらのお化粧タイムはナス子の心をドス黒く染めて行った。
「・・・ケッ」
一日目はチョロ松に運転を頼んだが、今日の運転はカラ松だ。
動物園に向かう車内中、ずっとナス子のご機嫌を伺ってくれているイタイ紳士。
「あー・・・ナス子?」
「ナニ?!」
「いや、あの・・・お前は俺にとってシスターだが、ミューズでもあると思っているっ、だからそう落ち込む事は・・・」
「石鹸?私石鹸扱いされてる訳ぇ?!!」
残念な頭のナス子はどうやらハンドソープのミューズと女神のミューズを見当違いしているようである。
が、違うと言いたいカラ松も今のナス子から出る黒いオーラの中にズカズカと入って行く事は適わず、気まずそうにチラチラと横を見ながら運転を続ける。
「あ、そうだカラ松」
「ハイ!」
「ん?どしたの??」
「お、怒ってないのかシスター?」
ナス子の顔色を、運転をしながらも伺うカラ松。
久しぶりの愛すべきブラザー達やシスターとの旅行、そして運転手の・・・・・・・・・俺。
ここは俺が楽しませてやらなければと必死になると、逆にいつものパーフェクトさが消えてしまう。
「怒る?何で私がカラ松に怒るのさ、別に怒ってないよ?誰かさん達のダメ女へのダメ出し発言にイライラしてるだけで・・・」
ナス子が助手席のミラー越しから悪の3人、おそ松、チョロ松、トド松を睨むが3人はどこ吹く風。
全く気にしていない、トド松に至ってはやり切った感すら出ているように感じた。
ちなみにナス子は性懲りもなく助手席に座っている。
地図も読めない、役に立たない、助手席補助すら上手く出来ない、の3拍子のナス子はチョロ松に文句を言われたが、散々化粧の際に説教してきたので完全に無視してまたも出来もしない補助席に自ら乗った。