第25章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました
カラ松に返してもらったスマホをポケットに仕舞うとナス子自身も仕方なくチョロ松の元へと迎い雑誌を覗き込んだ。
「チョロ松、トド松ーどっかいい所あった?出来ればあまり動く事なく車の中でダラダラ出来るような所に行きたいなぁ」
「それもう観光の意味ないからね、ナス子姉!」
「そうだよ、せっかく来たんだよ?こういう時くらい楽しんでおかなくちゃ損だろ?」
悲しい事にナス子の意見はすぐさま却下され、落胆しながら再度雑誌に目を通す。
山登り、クルージング、釣り場、バッティングセンター・・・
あまり魅力的なものはない。
山登りは嫌いではないが、以前の十四松と一緒に山に登ったので今は気分ではなく、他にいいものはないかと載っている写真に次々目を通して行く。
一つの写真がナス子の目に止まると、そこを指さした。
あのズボラでグータラ、休みの日はどこにも出かけたくないナス子が、だ。
「ねぇ、私ここ行きたい!動物園!!カピバラいるっ」
「ああ、動物園かぁ~久しぶりにいいかもね♪カピバラも可愛いけど、他にも可愛い動物がいっぱいいるといいなぁ~」
「ちょっと子供っぽい気もするけど、たまにはそういう所もいいかもね」
普段行くところは地下アイドルの追っかけ場所、コミケ、ハロワ・・・他オタク的な場所に出現率の高いチョロ松も賛同する。
「え~、動物園~?そんなとこ行って楽しいのぉ?俺はもっと可愛い子がいっぱいいる所の方がいいけど~」
「じゃあ、おそ松兄さんはここで留守番してたら~?」
「そうだな、おそ松はここにいるといい。後は俺たちに任せておけ!」
「そっかぁ、おそ松は留守番か。残念だねぇ!可愛い子ならいっぱいいるのにね、動物園だし!ね、トド松」
「ねー、おそ松兄さんったら勿体ないよねぇ、残念だなぁ」
わざとらしく3人で目配せをすると、期待していた反応とは違う事におそ松は拗ねた顔で口ごもる。
「なんだよお前ら!もっと構えよ、俺に!!もっと積極的に誘えよっ、一人で留守番だぁ?動物園行くよりも暇じゃねぇかよぉ!!」