第24章 危険な香りの温泉旅行 夜の海 チョロ松
「もっとしていい?」
いつもなら絶対に見る事のない潤んだチョロ松の瞳に、ドキリとナス子の心臓が跳ねる。
ただの弟みたいな幼馴染にこんな風にドキリとするものなのか?とも思ったが、チョロ神様のあの言葉は以前の私の心を救い出してくれたのだと心の中で流行る鼓動を落ち着かせる。
「もっとって、もっかいするって事?」
「違うよ、おそ松兄さんやカラ松がしたような事」
「え、でもほら、近親相姦はイヤとかアンタ言ってたじゃ」
「うるさいよ」
「━━━━━━━━━━んっ」
もう一度チョロ松の顔が近づき、今度は強く唇を塞がれる。
その角度を変え何度も、何度も、押し付けるキスは強くなり、呼吸が苦しくなってくる。
酔いは少しは醒めたからと言っても、まだ完全に力の入らないナス子はくたりと抵抗する事もなくチョロ松のキスを受け入れる。
これもう姉弟の域を超えてね?!!とかムードのない突っ込みを心の中でするも、口は塞がれている為何も言えない。
「待っ、待って・・・チョロま」
「ナス子」
「え?」
「舌、出して」
「えぇ?!」
弟からのまさかのおねだりだ・・・、誰が予想がつくだろうか。
私の好きな漫画やゲームのジャンルに近親相姦は含まれていない。
ナス子はこのキスの意味がわからないが、真剣な瞳をした相手を見返した。
これにもきっと意味があるのかもしれない。
「こ、こうっすか?」
至近距離から見つめていたチョロ松にまたも唇を塞がれながら、出した舌を絡めとられるとそのまま中に生暖かくも酒臭いものが口の中に侵入してくる。
「ぅ・・・んんっ━━━━━━━━━━・・・」
思わず自分の舌を引っ込めようとするナス子だが、それを逃さないようチョロ松はナス子の舌を吸い出すと、また口内へと自らの舌を這わせた。
「~~~~~?!~~~~~っっ!?」
今までの、六つ子の兄弟達にキスされた中でも一番長く、優しいキスがナス子を攻め立てた。
ムードとは恐ろしいもので、海、波の音、夜、月明かりに、星・・・そして日常なら絶対におきない旅行先と言うシチュエーション。
そんな単純なものに自らが騙され、絆されるとは思ってはいなかったが、何故か抵抗する気も起きなかった。