第23章 危険な香りの温泉旅行 それから
「ちょ、ちょっとナス子姉さんそれホント?!」
「どういう事だシスター!それは聞き捨てならないぞっ」
5人で楽しくトランプしてたハズの兄弟達が持っていたカードを捨てると全員に囲まれた。
「なに?普通に好きって言っただけじゃん、おかしいの?」
「姉さん、チョロ松兄さんの事好きだったんだね」
「クソ松じゃなくてシコ松かよ、ノーマークだった・・・」
皆それぞれ口を揃えて何をそんなに驚く事があるのだろう?
ナス子はただ弟、幼馴染、仲良しな相手として好きと言っただけだ。
なのにどうしてこんな反応をされているのかわからない。
「チョロ松、お兄ちゃんはそんなの認めないからな!面白くない!!俺が!!!」
そしてやっと口を開くおそ松は拗ねた顔をしている。
おそ松はわかりやすい、ただ自分が一番構って欲しいだけだ。
だが他のメンバーの言ってる意図がわからない。
チョロ松に至っては顔が真っ赤になっている。
「お、お前・・・僕の事、す、す、好き、だったの?」
ゴクリと唾を飲むと、ゆっくりと様子を伺うようにナス子の目を遠慮がちに見て来た。
「何?迷惑だとでも言いたい訳ぇ?折角お姉ちゃんが可愛い弟の事を好きって言ってるのに、ここは素直に喜びなさいよ」
「あ、な~んだそっちか!!は~~~ビビった!」
おそ松の発言の後、おかしかった5人が安堵したように胸を撫でおろす。
一体何がおかしかったのだろうとナス子は思ったが、それよりもまだ途中だったマッサージの続きをしたい。
「チョロ松、続き!ほら、早く寝てよっ」
「え、う、うん・・・」
チョロ松の表情は落胆したような嬉しいようなよくわからない表情だ。
だがナス子に急かされると再度床に伏せる。
「よいしょっと」
普段ニートなのに本当に硬い、何故なのだ。
どんな態勢を日常で送っているのかと思考をめぐらす。
これも一種の職業病ってやつだ。