第23章 危険な香りの温泉旅行 それから
サラっとナス子が答えると、一瞬無言のチョロ松はタダと言う言葉に納得したのかやっと静かになった。
「肩も固いなぁ、腰は前もやったけど相変わらずだね」
「ん~・・・」
そしてまたチョロ松は以前のように眠いモードになったらしい。
ウトウトと目が細くなっていく。
朝から一人でずっと運転させていた訳だしそりゃ疲れるよなとナス子は心の中で思う。
「なぁなぁ、もうそろそろいいだろー?交代しようぜぇ?次俺ね俺!!!」
「あ、ちょっとおそ松!チョロ松踏まないでよっ」
「ぐぇっ」
トランプに飽きたのか構ってちゃんおそ松が乱入してくるとうつ伏せで心地よさそうにしていたチョロ松が苦しそうな声を上げた。
折角運転のお礼してるのにこれじゃ全くの無意味になってしまう。
チョロ松の体に乗るおそ松を退かし、ステイを要求する。
「んだよ、ナス子っていつもチョロ松にだけ甘くねぇ?ってか仲良しすぎね?こいつの事好きなの??」
「「は?」」
これはナス子とチョロ松が揃った声である。
なんでコイツら六つ子ってすぐに恋愛に結びつけようとするんだろうとナス子は思ったが、チョロ松の腰に跨ると腰のマッサージをしながら自分の素直な思いをそのまま告げる。
勿論恋愛感情なんて持ち合わせてはいないのだが・・・。
こいつらもさっき話したばかりなので細かく説明せずともわかるだろう。
「なに急に言ってんの、そんなん好きに決まってんじゃん」
「へ?」
おそ松は目を丸くして急に押し黙る。
だがその次の瞬間・・・
「・・・え?え?え━━━━━━━━━━?!」
今度はマッサージをされていたチョロ松が急に起き上がる。
ナス子は急に起き上がったチョロ松のせいで畳に転がった。
あれ?これ以前も似たような事なかった?こんな迷惑な客ウチの店にはいないぞ。