第23章 危険な香りの温泉旅行 それから
夕飯までの時間、7人はそれぞれ好きな事をして部屋で過ごす。
が、しかしナス子は今チョロ松をマッサージ中だ。
運転が疲れたとかどーのこーの文句を言うチョロ松に対し、無理やり運転をさせてしまった手前無碍にする事も出来ない。
「あ~そこそこ、首と肩と腰痛いなー運転疲れたなー」
「はいはい、そうですかぁー。ったく何で私が旅行に来てまでアンタにマッサージしなきゃいけないのさ」
「だってお前が運転しろって言うから長い時間運転してココに来たんだろ、他のヤツらに運転させても良かったのにさ!」
ナス子は返す言葉がない。
他の5人は賑やかにトランプを始めている。
最初は皆それぞれ自分にもマッサージしろとかぶつくさ文句を言っていたが、順番でやってやると言うとおそ松以外は何とか納得してくれた。
本当に面倒な長男だ、何がなんでも一番でいたいと思う構ってちゃん。
なんとか納得させたが次は俺だと言い残し拗ねてトランプを始めた。
「6人続けてマッサージとかさせられたら私の指死ぬんだけど・・・?」
「いーよ、アイツらは今日じゃなくっても。それよりナス子手が止まってる、首もっとやって」
「へーい」
渋々了承しているナス子だが、こうやって自分の職場の経験がいかせるのは実は楽しい。
お客さんは色々な体があって、コリもそれぞれ違う。
六つ子って全員同じに見えるけど、きっと触ったらちょっと違うんだろうなぁ・・・とふと思ったらちょっとやる気が出てきた。
「チョロ松、首かった!何でこんなに硬い訳?ニートの癖にっ」
「おい、それ一言余計なんだけど!今の僕はお客さんでしょ?
普段お客様に接してるようにやってくれますかね?」
「ちっ、煩いなぁお客様。お黙り下さいですよ、息の根止めますよ?」
「おっまえ、普段客にそんな口聞いてんの?!間違いなくクビだろっ」
チョロ松のチクチク攻撃が面倒で適当にかわすナス子。
わざと首のツボを強く押してやった。
これイタイんだよねぇ、ヘッヘッヘ。
「イテテテテテテテ!!っておい、クレームものだぞコレっ」
「もー、文句ばっか言わないでよね。大人しく労わってやってるじゃ~ん!」
「これのどこが労わってるって言うんだよ!?」
「いいじゃん、タダだし」