第1章 平穏な日々に嵐はやってくる~おそ松~
「おーい、起きてる~?」
あ、これ扉開けちゃいけないやつだ。
普通にお客さんや宅配便なら、だいたいはインターホンを鳴らしてくれる。
だがしかし、このチャイムを鳴らさずに近所迷惑など全く考えない、ガンガンドンドンと扉をたたく相手は
アイツらしかいない。
しかもこの声は特に開けちゃいけない相手。
幼馴染……………
いや、腐れ縁と言おうか?もう数十年ほど付き合いが続いている相手
近所の有名六つ子にしてその一人、多分兄弟を象徴するであろう人物。
国民的バカでエロくて遠慮もなく金にがめついカリスマレジェンドバカ
あ、二回もバカって言った?うん、バカだからいいか。
そう、六つ子にしてその長男、
松野おそ松だ。
「え~、まさかまだ寝てんのアイツ。ナス子、起きろってぇ。可愛い弟が遊びに来てあげたよー?!」
誰が弟だ。
いや、確かに昔は弟のように可愛がってた時期もあったが
おそ松もとい六つ子はすくすく育つにつれてだんだんと個性がつくようになってきた。
それにつれてヤツラの性根は更に腐ってきたように感じる。
まぁ昔は昔で今とはまた別の意味で憎らしさもない訳ではないが、慣れとは怖いものだ。もう今はただただげんなりするばかりである。
げんなりしてしまうあの声と、扉を叩く音が煩くて一気にさっきまでのやる気がなくなってしまった。
私は踵を返し自分の布団へと戻っていく。
扉の音はまだガンガン響いているが
ごめんなさいご近所様、苦情責任はすべてアイツにお願いします。
煮るなり焼くなり吊るすなりおでんのダシにするなり好きにしてください。
横向きになり両手をあわせスヨスヨと寝れるよう目をつむった。
はー・・・お布団の中ってどうしてこんなに幸せなんだろう。
と、幸福に浸った次の瞬間。
「なんだ、やっぱし寝てたのかぁ。しょうがねぇなぁ、おい!起きろー!!ナス子、もう昼だぞ」
…………………………………は?