第19章 危険な香りの温泉旅行
「いいでしょ別に、普段仕事だって深夜までなんだし」
「だからって知らねー土地は危ないだろぉ?女らしさの欠片もないお前でも、夜だったら顔見えない訳だし、襲ってくれるヤツいるかもよ?だーっはっはっは」
夜じゃなくても襲ってきたのはどこの誰ですかねぇ・・・
わなわなと拳を握り、殴りかかる衝動を抑えた。
「そんな時こそ俺の出番だナス子!外に出かけたい時はいつでもこのカラ松を頼ってくれていいんだぜぇ~」
あ、そうだ、カラ松とチョロ松に言わなきゃ。
アイツらは恋愛云々ではなく、自分の脱童貞の為の練習台として私を利用しているに違いないのだと。
そうだ、一松の事はまだ言ってなかったっけ、まぁ、おそ松と同じようなもんだし、別に言わなくてもいいかな・・・
いや、言った方がいいのかな?と、荷物整理を続けるチョロ松を見ると、同じく目が合い、「何?」という顔で首を傾げた。
今は言わなくてもいいか、また今度話してみよう。
「はぁ、それにしても三日間もこの部屋でアンタらと過ごさなきゃいけないのか・・・」
私は諦めて自分の荷物を取り出している。
スマホの充電器、携帯充電器、漫画、音楽プレイヤー
などと漁っていると、十四松が嬉しそうに近寄ってきた。
「ボクは姉さんと一緒に泊まれて嬉しいよ?あと、三日間じゃなくて四日間だね」
「四日間か・・・いや、私もね?そんなに嫌って訳じゃないんだけどさぁ・・・子供の頃はよく旅行とかに連れて行ってもらった事もある訳だし。でもさでもさ!考えても見てよ十四松君!!大の男が6人だよ?!6人もいるんだよ?!!!これってアレだよね、漫画やゲームで例えると凄く危ない状況なんじゃないの?!」
私が強く口を開くと、チョロ松が心底呆れ顔だ。
あんた私にその顔しすぎじゃない?
またゲームの話かよ、って顔してる。