第19章 危険な香りの温泉旅行
「いい?チョロ松、今からこのスマホ喋り出すから、その指示に従って運転してね?」
「はぁ?お前は何すんだよ?」
「ゲーム」
「いや、そこキリっとして言う所じゃないからね?!助手席全っ然役に立たないじゃんっ」
だがしかし、ナビのお姉さんは正確で、当たり前だが私が地図で案内するより遥かに順調に目的地へと導いてくれているのだろう。チョロ松の小言は徐々に減っていく。
混雑状況や到着予測時刻まで教えてくれるのだから、完璧だ。
昔、私が六つ子とドライブした時に地図を読んだ事があった。
あの時は迷子になって散々な目にあったなぁと、ふと思い出す。
すると、同じ事を同じタイミングで思い出していたのであろうカラ松が、パチンと指をはじく。
「そう言えば覚えているか?昔ナス子がドライブに行きたいと言った時、マップを読み違えて俺たちは・・・」
「あー、そろそろお昼の時間かなぁ!お腹減ったなぁ!!!ねぇ、チョロ松、近くにコンビニあるみたいだからそこ寄ってこうよっ」
「あぁ、そうだね。軽くパクつくものでも買っていこうか」
「ん~?」
ごめんカラ松、いつものスルーとは違うけど、これは思い出させないでくれ・・・じゃなきゃまた説教されるじゃん!
シャラップだ、カラ松。
「俺も腹減ってきたぁ~」
「ちょぉ、近い近い近い!!おそ松兄さん重いんだけど、ぼくに寄りかかってくるのやめてよね!」
「ごはん?ごはん??」
「大人しくしてろ十四松、車が揺れる・・・」
他の皆も多分お腹が減っているのだろう、私の提案に目を輝かせているからね。
チョロ松は旅館のチェックインの時間を気にしてるみたいだけど、コンビニくらいじゃ相当混んでない限りは大丈夫だ。
暫く車を走らせると、小さなコンビニに着き、各々食べたいものを購入してまた車に乗る。
私も適当におにぎりを買った。
せっかちなチョロ松は、食べてから出発すればいいものを、シートベルトを締めるとすぐに車を発進させる。