第18章 私は二度死にかける おそ松 一松
ナス子の部屋の前に到着すると、当たり前だが鍵は閉まっている。
おそ松は一松から奪った鍵を使うと、一切の躊躇無く部屋の中へと上がりこんで行く。
今まで自分が行っていた行動ではあるが、人がやっているのをいざ目の前で見ると、なんて横暴なんだろうと改めて思う。
だが、それだけではなく、何か他の感情が一松の心にズクズクと鈍い音を立てながら顔を出していた。
中に入ると、待っていました!と言うように、子猫がちょこりと座って一松に向かって鳴いた。
一松も会いたかったミケ子に話かけるとそこで戯れ始める。
おそ松の行動も気になったが、同じ家の中にいるから大丈夫だという安心感から長男の行動を無視した。
一方おそ松は、ズカズカと奥へと侵入し、ナス子の寝室へと向かった。
リズムよく寝息を立て、幸せそうに眠るナス子の隣に座ると、寝顔を見下ろす。
「はっ・・・なんか久しぶりだなこの感覚」
実はおそ松は、ナス子とキスをしたその日から一度もナス子に会ってはいなかった。
ナス子自身がおそ松を避けていたと言う事もあったのだが、連絡一つとれない状態であった。
「フハハハ・・・・・・村長を倒し・・t・」
「こいつまた変な夢でも見てんな・・・?ちょっと会ってないからって変わる訳でもねぇかー」
「・・・」
ただただ気持ちよさそうに眠るナス子を見て、おそ松は笑みを零す。
黙ってればまぁ、マシなやつなんだけどなぁ、などと考えながらあの日の事を思いだしていた。
唇の柔らかい感触、ナス子の舌の温かさ、抱きしめた時の感触全てを。
「はぁー・・・どうしよう俺、これチンパンジーだぞ?こんなヤツ相手に・・・」