第17章 どうしようもないけど可愛い弟達 十四松 トド松
「たまには珈琲メーカーも連れてきてやるかなぁ・・・」
「ええ、姉さん機械とデートするのー?!」
ナス子の呟きを掬い上げ、十四松が突っ込む。
トド松は何かを考えている・・・さすがというか、察しが早そうだ。
このままだとバレてしまうと思ったナス子は話を慌てて逸らした。
「それにしてもトド松って本当にお洒落でなんでも知ってるよねぇ!お姉ちゃん、トド松が居てくれて本当に良かったよぉ、やっぱ頼りになるよね!トッティは!」
言われるとチョロイトド松の頬がピンクに染まる。
「ハハっ、何言ってるのねえさ~ん、こんなの当たり前でしょ~、ってかナス子姉が知らなすぎなんだからね?!」
ハットにシャツ、ネクタイの勝負服を着ているトド松は照れ臭そうに頭を掻いた。
「ボクも色々知ってるよー、えっと野球のユニフォームの店はー・・・」
「違うよ、十四松兄さん。今の話題の流れは野球じゃないよ?」
「え~野球じゃないのぉ~・・・へこみ~・・・」
兄松達とあんな事があったばかりだったので、この二人との通常の会話にとてもナス子は癒されている。
大事な弟達、ちょいちょい酷い事はいうが、今日は機嫌かがいいから突っ込まない。ある意味これが普通であった。
こんな風に和むのっていいなぁ、店の雰囲気に飲まれ、二人と過ごす時間に幸福を感じた。
「そういえばさ、ナス子姉・・・」
「ん~?」
珈琲をまた一口堪能するようにゆっくり飲んでいると、トド松が口を開く。
「ちょこーーーーーーーっと言いにくいんだけど・・・」
「なに?言いにくい事って、お金貸してとか?」
「おそ松兄さんみたいな事言うねトッティ!」
「違うよ!僕をあんなダメでクソでうんこな長男と一緒にしないでくれる?!」
おそ松と言う名前を聞いただけでナス子の胸は一度強く脈を打ったが、誤魔化すように珈琲を飲む。
「え、お金じゃないの?」
「僕だってそれ以外の頼み事する事だってあるんだけど?っていうか僕は兄弟の方ではお金借りてない方だと思うんだけどなぁ」
「まぁ、確かに・・・」