第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「・・・そっか・・・、うん、そうだよね。やっぱり私の自意識過剰だよね。だってキスってこんなに簡単に出来るもん。ちょっとしてみない?っていう軽いノリで出来ちゃうんだもんね。知らない相手じゃないし、姉弟みたいなもんだし・・・だから男と女じゃないし・・・うん、そっかそっか」
「納得してくれた?まったく世話のやける・・・」
正直頭は全然追いついていないが、ここで納得してしまえばもう楽になれると本能で悟ったナス子である。
無理やり自分を納得させるように思ったことを全て口に出す。
するとそれを後押しするように、チョロ松が言葉を付け足す。
「クソ長男は純粋にキスがしてみたかっただけ。そこに丁度ナス子がいたってだけだよ。まごうことなき最低な行為に変わりはないけどね」
床に正座をし腕組をしながらそう言うチョロ松は、まるで何かの先生のようである。
ナス子は感動したとでもいうような目でチョロ松を見ると、ガシリとその手を取る。
「ありがとう!ありがとうチョロ松先生・・・!私、救われました・・・!スッキリしました!!」
「うんうん・・・いいんだよ、ナス子が楽になったのならよかった」
チョロ松が笑ってそういうと、ナス子もこの日一番の晴れやかな笑顔を見せる。
立ち上がり、未だ膝を抱えて落ち込んでいるカラ松の方のそばに行くと、その肩に手を置く。
カラ松が顔を上げると、そこには聖母のような後光を放つナス子がいた。
「カラ松・・・もういいよ・・・全ては解決した・・・あちらにおられるチョロ神様により、私は解放されたのです・・・」
「え、ええ・・・?訳がわからない・・・」
「わからなくてよいのです・・・とにかく私は楽になれたのですから・・・」
両掌を合わせ目を閉じるナス子は見るからに安らかだ。
カラ松がチョロ松を見ると、うん、と力強く頷かれる。
「・・・・・・・解決したなら、よかったな!ナス子!!」
「うん!!ありがとうカラ松!!」
ぐっと親指を立ててウィンクをしあう二人。
とにかく、この場は丸く収まったようである。
傾いてきた日差しが、時間の経過を告げていた。