第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
ミケ子が大きく欠伸をし、伸びをしてその場をくるくるとし寝直す。
なんて可愛いんだ・・・見ているだけで癒される。
むしろ猫になりたい。
ナス子はそんなことを思っていた。
同じコタツに座る二人の男からはドス黒いオーラが溢れ出ている。
「いやぁ馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまで馬鹿とはね」
「救いようがないとはこのことだ。やはり馬鹿は一度死なないと直らないようだな」
「アイツの場合それでも直らなそうだけどね」
「フッ・・・今日はよく意見が合うなブラザー」
どうにも居心地が悪く、ナス子はマグカップを両手で弄くり黙っている。
二人がナス子のほうへと視線を移すと、ぎくりと身体を強張らせてそろりと視線を合わせる。
「な、なに?」
「結局さ、ナス子はクソ長男のことどう思ってるの?今」
「今?って?」
「恋愛感情がないことはわかったけど、他に何か思うところがあるから、様子がおかしかったんでしょ?」
「あ~そういうことか。ま、まぁね、うん・・・でも自意識過剰なだけかも」
「言って」
返事はYESしか認めないというこの圧力に抗う術を、ナス子は持たない。
まして2対1である。
「お・・・おそ松のほうが・・・私のことを、その、女として見てるのかなって・・・思っちゃって・・・何だかそれが不安というか~なんというか~・・・」
「ああ、なるほど・・・そういうことか」
二人は過去の例の出来事を思い出し、おそ松が自分に対して『男』を出してきたことにナス子は少し不安になったのだと悟る。
そして、ここに至ってチョロ松がとんでもないことを言い出す。
「じゃあさ、僕らともしてみる?」
「は?何を?」
「だから、キス」
今日のチョロ松は真顔が光る。