第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「おそ松の事を、恋愛感情として好きなのかと今聞かれれば、それはNOだね」
ナス子が真顔でそう言うと、カラ松とチョロ松は胸を撫で下ろす。
「よかった・・・そうだよね、相手はあのおそ松兄さんだもんね」
「逆におそ松ラブと言われたらどうしようかと思ったぜ・・・」
今日は朝からおそ松がクシャミを連発していることだろう。
本人がいないのをいいことに言いたい放題の三人である。
この三人であれば、本人が目の前にいたとしても同じ事を言っていただろうが・・・。
「でも意外だよね、おそ松兄さんて僕達の中でも一番ナス子に手を出す事はないと思ってたんだけど」
「俺もだブラザー。だが、おそ松のことだ・・・彼氏役を頼まれたことで、何か勝手に自分の都合の良いように勘違いでもしたんだろう」
「ああ、それは確かにありえるね。アイツ底抜けの馬鹿だから」
黙ってカラ松とチョロ松の会話を聞いているナス子だが、その表情にふと影が落ちる。
それは一瞬のことだったが、その瞬間を2人は見逃さなかった。
「どうしたの、ナス子・・・もしかして、他にも何かされたの?!キ、キス以上のこととか・・・?!」
「へ、え?!い、いや、キス以上のことはされてない!されてないよ!!た、ただ・・・その・・・」
「ただ?・・・言いにくいことなのか?」
カラ松の空気がまた少しピリリとするのを感じたナス子はブンブンと首を横に振り、矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「いやっ、ちょ、ちょっと、あの、し・・・・・っ舌も入れられた、かな、って!で、でも、それだけ!!他にはホントに何もされてないから!!」
「やっぱり殺そう」
「うん、そうだね、手伝うよカラ松」
ナス子の言葉に、間髪入れずにカラ松がそう言い、チョロ松も即座にそれに同意する。
二人の顔に表情はなく、これぞまさに真顔中の真顔という奴である。
要するに、怖い。
「待って待って待って待って、落ち着こう落ち着く時落ち着けば落ち着いて?!私も落ち着く!!ねっ、ねっ?!」
若干涙目で必死に訴えてくるナス子に免じて二人が即座に行動に起こす事はなかったが、カラ松、チョロ松両名の未来の予定に『長男抹殺』の四文字が書き込まれた。