第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「ま、待ってカラ松!嫌だったっていうか、び、ビックリしたっていうか?!ほほほほら、アンタ達全員私にとっては弟みたいなものだからさ、弟に急にキスなんてされたらさっ、ね?なんて言うか、そんな感じでっ!嫌っていうか~、嫌だったけど別に嫌でもなかったっていうか~よくわからない感じなんだよねぇ!」
「嫌じゃなかったのか?」
「いや~~~だから、嫌だったけど嫌じゃなかったというか?!自分でもわからないから困ってるというか?!」
カラ松の腕を両手でぐっと掴み、必死に説得をする。
極力無理のないよう、冷や汗をかきながらも引きつった笑顔を見せるナス子に、カラ松は目を細める。
「・・・ナス子が嫌じゃなかったんなら、いいんだ」
そう言って多少眉を顰めたままのカラ松がナス子に笑顔を向けると、それを見たナス子からほっとしたように力が抜けた。
カラ松の前に立ち塞がっていたチョロ松も、緊張が解けてほっと溜め息をつく。
とりあえずこの場は収まったらしい。
三人でリビングのコタツまで戻り、それぞれ席に着く。
すっかり冷めてしまったコーヒーが、三人を出迎える。
「・・・とりあえず、皆冷静になって話し合おう、いい?約束ね」
チョロ松がそう言うと、2人も頷く。
「どちらにせよ、クソ長男は死んだ方がいいと思うんだが、そこのところはどうだ?チョロ松」
「それには同意だけど待ってカラ松。ナス子の気持ちも大事だからさ」
「私の気持ちとは」
「クソ長男が好きなのか?」
「好きとは」
「恋愛対象としてアイツを見てるのかってこと」
「恋愛対象とは」
「おいゴルァ!!話が進まねぇだろうが!!ちゃんと答えろよ!!」
「だだだだだってぇぇぇ~~~!!」
「落ち着くんだチョロまぁつ、ナス子も混乱しているんだ」
ナス子の態度に今度はチョロ松がオラつき始め、カラ松がどうどうと宥める。
先程のような緊迫した空気こそ流れていないものの、スムーズに話が進むことでもなく、会話はループしてしまう。
気が付けば日はスッカリ高くなり、時刻は昼を過ぎていた。