第108章 最終回【逆ハー】ネヴァーエンディングストーリー
ボロボロになった六人が、やっと今この場で争っても仕方ないと気付いた後、この話題は保留にしようと言う事になりその場はおさまった。
何かあればナス子から切り出すかもしれないし、そのような動きががあればわかると思ったからだ。
内心では落ち着かない六つ子達も、なんとか平常心を保つよう、気をつけねばならない。
「ただいま~」
帰宅したナス子の声が玄関から聞こえ、意識の元どこかしら大きく聞こえる気がする。
「お、お帰りナス子。荷物多いね……持とうか」
ちょうど目の前を通った一松が、さほどでもないナス子の荷物を見て気遣うように手を差し伸べる。
「ありがとう一松、これそんなに重くないから大丈夫だよ?」
「まぁまぁまぁまぁ、身体は大事にしないとね」
「う、うん?」
ナス子の荷物を持ち、二階へと上がろうとする一松を一階で見ていた十四松とトド松が瞬時に拉致して小声で注意する。
「ちょっと何してんの一松兄さん!いつもはそんな事しないでしょっ」
「平常心、平常心!」
「………あ、悪い」
どこかおかしい3人にナス子もつい小首を傾げてしまうが、どうせまた下らない話でもしているのだろうと気には止める様子もなく二階へと上がっていく。
「おっとナス子、足でも滑らせたら大変だ。お手をどうぞ」
「なにカラ松?どっか頭でも打った?……いや、今更か」
何か違和感を感じるような、そうでないような。
カラ松に関しては通常運転ではあるし、他の弟達に関してもこれだけ一緒にいれば奇怪な行動をする事くらいあるだろう。
それは六つ子全員に関しても一緒だ。
自分の部屋には行かず、先に六つ子の部屋へと顔を出し、おそ松とチョロ松にも挨拶をしていく。