第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「は・・・・・・はぁ━━━━━━━?!キ、キキ、キキキ、キス?!おそ松兄さんとナス子姉さんが?!」
「どうしたらそういう事態になるんだ!?なな、何があったと言うんだシスター!どういうことだ?!」
思わずコタツから立ち上がりナス子を見下ろす2人に驚き、とりあえず落ち着いてくれと両者を宥める。
カラ松とチョロ松の2人はまたも顔を見合わせると、お互い言葉は交わすことなく言われた通りに居直し、落ち着こうとするがあまりの想定外のことになかなかうまくいかない。
「キスってあれだよね、夏野菜の代表格、煮てよし焼いてよし揚げてよし」
「それはナスだ、チョロ松」
「木の実が大好きでしっぽが可愛い」
「リスだ、チョロ松」
「失敗した時に出る」
「ミスだ、チョロ松。落ち着けチョロ松、気持ちはわかるが落ち着くんだ」
お約束の一連の会話を終え、2人は温くなったコーヒーをごくりと音をたて一口煽る。
当のナス子はコタツに両肘を突き手で顔を覆い、指の隙間から2人の様子を窺っていた。
「・・・と、とりあえず、どうしてそうなるに至ったのか、事の顛末を話してもらえる?」
「・・・・・・・・・・・・うう~ん・・・うん・・・わかった・・・」
ナス子がぽつりぽつりといさきつを話し始めると、2人は黙ってそれに耳を傾けた。
おそ松に一日彼氏のフリを頼んだこと、ダブルデートをしたこと、後日その時の写真を2人で見たこと、その中の一枚の写真が原因で軽い口論となり、その勢いでおそ松にキスをされたこと。
「・・・と、いうことなん、です、が・・・あの、聞いてた?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
おずおずとナス子が2人の顔色を窺う。
なんの返事も返ってこないのに少し不安になりつつも、何か言われるのも怖いので、ナス子も二の句が継げない。
部屋にしばしの沈黙が流れる。
「・・・・・・それで?」
「・・・え・・・?」
沈黙を破ったのは、三人の中で最も意外な人物だった。
カラ松だ。
「それで、おそ松にキスされて、ナス子はどう思ったんだ?」
珍しく、ふざけても、痛くもないカラ松の様子に、ナス子は一瞬たじろぐが別段怒ったりしている様子もないので、素直にその質問に答える。