第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「この間、ナス子姉がウチに来てた時、おそ松兄さんと何かあった?」
チョロ松の問いかけに、ナス子の空気がわずかに緊張する。
返事こそなかったが、その様子は問いかけに肯定したと判断されるには十分だった。
「やっぱり何かあったんだね。帰り際のナス子の様子もおかしかったし、あの後おそ松兄さんもなんか挙動が不審なところがあったし・・・喧嘩でもしたのかなって思ったけど、それにしてはなんか違和感があるって言うか」
「そうなのか?シスター、一体何があったんだ?」
「・・・・・・黙秘権を行使したいん」
「言っておくけど、一応僕心配して来たんだからね。面白がったりしてるわけじゃないからね?」
ナス子の性格をよく知っているチョロ松は、ナス子が突かれると一番痛い良心を容赦なく攻撃してくる。
案の定ダメージをくらった様子のナス子は、うぐぅと表情を歪ませた。
「・・・・・・じ、実は・・・・・・」
よほど言いにくいことなのか、二の句をなかなか告げようとしないナス子に若干苛立つチョロ松だが、急かすとまた口を閉ざしてしまいそうなのでここはぐっと堪える。
カラ松はただじっとナス子の言葉を待っている。
しばらくの沈黙の後、ナス子は観念したように一度溜め息を吐くと、搾り出すような声で言った。
「・・・・・ぉ・・・・・・・キ・・・・・た」
「「は?」」
あまりにも小さな声で、同じコタツに入ってるくらいの距離でも聞き取れず、2人は身を乗り出してナス子の方へと耳を向ける。
「・・・~~~~おそ松にキスされたの!!」
早く言わないと逆に言いにくくなるばかりだと悟ったのか、半ばキレ気味にナス子がそう言うと、カラ松とチョロ松は同時に目を丸くして互いの顔を見合わせた。
顔を若干赤くして俯くナス子の様子が、今言ったことが嘘やごまかしではないことを証明している。