第106章 【一松ルート】花詰草
トド松が言いたい事はわかる。
そんでもってあの長男が機嫌が悪いと面倒だという事も、プラス俺が帰るだけでなくナス子を連れていけば機嫌は一瞬で治ると思うけどその代わりナス子に絡み放題になる事は目に見えている。
「またおそ松機嫌悪いの? もう、長男の癖に我儘ばっかり! しょうがないヤツ~。じゃあ私も行こうか」
「いや、ダメ」
『ぼくも来ない方がいいと思うよ~、もう家でも何本かビール開けてるし、言っておいてなんだけど絡まれるよナス子姉』
「アッ、私用事が今出来たんだったぁ! ごっめぇん一松トド松! 悪いけど行けなくなっちゃった、今すぐ用事を作……出来ちゃったから!」
トド松の最後の台詞はいとも簡単に急に出来た用事によって遮られる
。
勿論、俺とトド松はそれが嘘だって事はわかんだよね幼馴染でもある訳だし。
笑った顔をヒクつかせながらも俺に両手を合わせて見上げてくる表情についつい絆されてしまう。
「わかった、じゃあ帰るって伝えておいて」
『姉さん、もう少し嘘のつき方上手くなった方がいいよ。りょうかーい、イチャイチャしてないでなるべく早く帰ってきてね、こっち面倒だから!!』
電話が切れて一つ溜息が漏れる俺。
六つ子といえどさ、一応序列ってのもあるんですよ。
普段はあんま気にした事はないけど……。
特に長男に至っては長男の位置を完全に確立している。
あんなにどうしようもない癖に一応俺らの中心的な人物である事は否めない訳で。
「一松、顔に不穏なオーラがまた出てまっせ?」
「……そりゃぁ、そうでしょ。帰りたくなんてないし」
「私がいるからかい?」
「……………………………ミケ子がいるから」
少しだけ、ほんの少しだけ意地悪を言ってやる。
そうすればほら……ね?
また頬膨らませて拗ね顔が見れるから、ヒヒ……。