第106章 【一松ルート】花詰草
「そう」
「一松ってわかりやすいと思うんだけど、一緒にいる時間が増えたからか雰囲気がわかりやすいって言うか……六つ子の中では一番難しいのかもしれないけどねぇ」
ドヤっとした顔で見上げられて呆気に取られてしまう。
俺ってナス子にとってはそんなキャラだったの……?
俺ってそんなわかりやすいヤツだと思ってなかっただけに以外なんだけど。
「そんな事言うのお前くら……」
~~~♪
「あ、ごめん。ちょっと電話」
「あぁ、うん」
ナス子がスマホを見ると首を捻り、画面を俺に見せてくる。
「トド松からだよ? 一松になんか用でもあるんじゃないの?」
「は? 俺に?」
「まぁ、出てみればわかるかぁ」
画面を見せられて、今度はそれを俺とナス子の間に置くと、ナス子はスマホをスピーカーモードにして着信に出る。
「ほいほい、トド松どったのー?」
『あ、ナス子姉出た。良かったぁ、お楽しみタイムじゃなくって』
「…………切るぞ」
『あ、ごめんなさい。 冗談、冗談だってぇ~。そこに一松兄さんいる?』
俺??
「いるよ、今スピーカーにしてるから普通に喋って大丈夫だよ。ほら、一松も」
そんな事言われても、俺電話とかあんま好きじゃないんだけど……。
無言、細い目をしてナス子を見てもナス子も無言でスマホを差し出してくる。
「ほら、一松!」
「………はぁ……もしもし……いち、松だけど」
『何でそんなオドオドしてるの一松兄さん、おそ松兄さんが今日はどうしても六人で飲みたいから帰って来いだってさ』
「はぁ? なんで?! 俺居なくても別にいいでしょ、五人でいけば」
『それがさぁ、今日はあんまり機嫌よくないみたいで……面倒だから帰ってきてよぉ。一番いいのはナス子姉も連れてきちゃう事だけど』
「それはダメ」