第106章 【一松ルート】花詰草
一瞬真っすぐ見据えられたまま黒目を動かす事なく言う言葉は真剣に聞こえて間の抜けた返事になってしまった。
「私ってどっか変なのかな? 好きすぎて殺したくなる」
「……変でしょ」
「いやいやいや、そっちが変だから!」
「それはもう元から知ってる事だろ? けどナス子は違ったのに」
「なんだろうね、ここまで誰かの事を愛した事がないから怖いのかな? 一松を自分だけのモノにしたいなぁとか思っちゃうんだ……ひ、引いた?」
ふ、ふふふ……引くどころか
それ以上にまた風船が膨らんでいく
俺達って絶対におかしいんだろうな。
「引かない」
「これは一松菌がうつったんだよきっと! こんなに一緒にいるんだもん、感染しても可笑しくないよね~はぁ、恋人って一緒に居ればいる程似ていくらしいよ?」
そんな事を言うナス子は、さっき読んでいた床に置かれた雑誌に視線を変えた。
ほんと、そんな恋愛物とか書いてある雑誌を見るようになるとは驚き。
女かよ!! いや、雌か。
「それ……雑誌、なに読んだの?」