第106章 【一松ルート】花詰草
「どう? 苦しい?」
「……けほっ、少し」
……………なんてね。
半分本気、半分冗談てヤツ。
一番危ないのはコイツとSEXをしている時。
いつか……なんてないと思いたいけど、思ってしまう。
いつか俺以外の誰かの物になってしまうかもしれないと。
だって俺には何の魅力もない訳だろ?
じゃあどうする?
殺すしかないじゃん。
SEX中、俺はたまにナス子の首を絞める時がある。
最初はビックリした顔をしたナス子でも、抵抗する事は一度もなかった。
ネガティブ同士だから俺の気持ちがわかってるのかは知らない。
そういう話しないし。
ただ、コイツは俺が本気で求めると逃げないし抵抗をしない。
まるで慈愛に満ちた女神……言いすぎか。
慈愛に満ちたカピバラだっけ?
そんなカピバラは見た事はない訳だけど、まぁそんな感じ。
怒る時はめちゃくちゃ怒るけどナス子は……
「お前ってさ、何で俺が俺を否定すると怒るのに俺がお前に酷い事しても怒んないの? 馬鹿だよね?」
「酷い事なんかしたっけ?」
━━━━━━━━━━これだ。
鈍いの? 馬鹿なのか? あ、馬鹿には馬鹿だったな。
「だって、私も同じなんだもん」
「なにが?」
「一松を殺したい」
「は?」
とてもじゃないけど冗談の瞳はしていない。