第106章 【一松ルート】花詰草
「ふ~ん……」
上に乗っかる彼女の腰に手を添えて俺の顔を至近距離へと近づけてまっすぐその視線を捉えた。
「じゃあ、一緒に逝く?」
「逝く?」
「そう、俺達しかいないどこかへ……」
一緒に死のう。
そうすればお前は誰の物にもならない、俺のもしもの心配だってない。
なにも感じない世界に行けたとしたら永遠にざわつく心や風船は割れる事はない。
いや、死んだら割れるのか?
けど、もしかしたら死んだらその風船は重力でフワフワと空に舞い上がって行くかもしれない。
「こうさ……」
ニヤリと笑って俺はナス子の首にそっと両手をかける。
「?」
「俺がちょっと力を入れたら、一緒に逝けるんだよ」
少しだけナス子に添えた両手に力を込めて見る。
「………っ」
ビクリとナス子の身体が反応して暴れるだろうと思った俺の予想は見事に外れ、少し苦しそうに瞳を潤ませる彼女は抵抗する事はなく俺の瞳をまっすぐに見つめている。