第106章 【一松ルート】花詰草
「んっと、猫の愛護活動についてといらないニンゲンの話」
「あぁ……なんだ、その事」
「んま、私も思う時あるよ? 何でニンゲンが勝手な事ばっかして動物の居場所を奪ったり処分したりするのって」
「そう、それ。俺達こそアイツらにとっては脅威なんだよ」
「うん、だからってうちらも人間な訳だしあんまり文句は言えないけどねぇ」
「━━━━━━━━━━俺は別にこの世にいなくたって構わないニンゲンだから」
俺の隣で丸くなっているミケ子の頭を撫でて視線を下げる。
この後の彼女の行動は察しが付く。
だから先に正当防衛とばかりに近くにあったクッションを俺の頭にのっけた。
━━━━━━━━━━ボフッ
「あ!! くっそ、回避されたあああぁ!」
「ヒヒ……お前の行動くらい先読み出来るから」
「じゃあ私が言いたい事もわかってる癖に、何度言わせんの馬鹿。一松は私にはとーーーーっても大事な人間なんだからね?」
「━━━━━━━━━━へぇへぇ」
実は俺はこう言って欲しいんだろうか。
たまにこんな皮肉を言ってはナス子の機嫌を損ねて怒られるし、こんな風に俺の存在を肯定してくれる。
「コンニャロー!!」
「うぉっ」
急にソファに座る俺に上から抱き着いてきて、ミケ子は驚き逃げて行く。
その代わりにデカくて躾のなっていない猫が乗っかってきた。
「ネガティブは否定しないよ? 私だってそんな事思う時あるし」
「ナス子は必要でしょ、友達もいるし。働いてるし、役に立ってるよ」
「でも一松が必要のない世界なら私だっていなくなってもいいもん」
この顔、この拗ねた顔が見たいって思う時もある。
笑った顔も嫌いんじゃないんだけど、俺の為だけに向けられるこの拗ねた顔は悪くない。