第105章 【微エロ】【逆ハールート】なんでもない日常
顰めた眉にグッと噤んだ口。
化粧品を買いにただ来ただけなのに連れてくるべきではなかったと心から後悔してしまう。
「ウンコ長男はほおっておいてさ、ねぇナス子姉、どれにする? あ、いっそのこと全部買っちゃう? どうせ何枚あっても足りなくなるんだしー」
「っ! そそそそ、そそれはそうかもしれない、けどっ……ふっ、フツーのでいいよ! フツーので!」
とは言うものの、こういうのの普通ってどれが普通なんだろう。わからん。肯定するのは気恥ずかしいが何枚あっても困るものではないのは事実だし、ここはやはり。
「一番安いの! あっ、こ、これかな?! うんうんっ、これ、これにしよっ! さっ、決まった決まった!」
「あっ! おい待てよナス子! これもー! どれでもいいならコレもいいだろぉ?!」
「ちょっ、ちょっと! 天高く掲げながら追いかけてこないで! さ、さっさとチョロ松見つけて帰ろうよ。そろそろカラ松も干からびる頃だしっ」
結局、おそ松の希望、一松の希望、トド松の希望……すべての物がカゴの中に入ることになってしまった。
「私、絶対にレジ会計にはいかないからね! こんなに大量にストック抱えてさ、誰か買ってきてよ……はぁ、ネットの匿名配送で買えばいいのにぃ」
買う予定の物は化粧品だけだったハズだ。
なのに買う物がどんどん増えていく、これ以上ここにいればまた今度は酒だのビールだのつまみだの増えるに違いないと早くチョロ松を探し家に帰る事にした。
愚かなことにナス子は気づいてはいない、自分が普通の箱をチョイスした所為でゴムが更に増えたという事に……。
例えすれ違う人達相手ですらもカゴの中身は見られまいと箱の上に念入りにお菓子やらミケ子のオヤツを積んで隠す。
帰ったらどれを使おうなどと会話をする彼らが誰からだとか口喧嘩を始めそうになりながら通るコーナーを見回しやっと緑の男を発見できた。
寧ろコイツを探しに行った黄色はどこ行った。