第105章 【微エロ】【逆ハールート】なんでもない日常
しかし今回は黙っていようと思っていたらしい。
「姉さんおはようございマッスル!! トッティがそれ使ってる所、ボク見たよ」
「じゅ、じゅうしまぁつ?!」
「ふっ、やっぱりね……アイツ、また私の化粧品使ったのね! 松代さんの取らなくなったと思ったら今度は私のを使うとは、ったく。あの女子力人間めっ、心はドライでも肌はドライになりたくないってか! 顔より心のスキンケアすればいいのに」
廊下を歩いていた十四松は、どうやら二人の会話が聞こえたようでピョコリと入り口から登場した。
しかもトド松の悪行まで親切にナス子に教えた為、ナス子の仕事の帰宅後にトド松をフルボッコする予定が入った。
「あ、そろそろ時間だ! カラ松、下ろして。もう出ないと遅刻しちゃうからさ」
「あぁ、もうそんな時間なのか。ラヴァーとのスキンシップは愛があればある程短く感じるものだな……」
「とか言いながら普通に退きつつ、ライトミラーの前に座りだすなお前は」
「あはは、カラ松兄さん今その鏡マイブームだもんね!!」
瞳をしぱしぱ輝かせるクソ顔をキメ、カラ松が「ああ」と返事を返すも、振り向こうとはしない。
コイツ……実は恋人よりも自分の事の方が愛しちゃってるんじゃないだろうか。
「ちゃんと電池新しいの用意しておいてよ、カラ松」
「勿論だ。でなければ俺の輝きも見れないからな! フフン」
しつこく引き留められるよりはマシだと立ち上がり、出発前に立っている十四松に抱き付く。
「行ってきます、十四松」
「はい! 行ってらっしゃい、姉さん」
ギュっと二人で一瞬力を入れてハグをして、顔を放してニコっと笑う。
仕事前の十四松はもの凄く癒されるのだ。
荷物を持って、ナス子が玄関に向かい靴を履いていると、ちょうど正面にチョロ松が帰宅する。