第15章 構ってほしい長男 おそ松
「じゃあそこらへんのマネキンとでもキスしてくれば~~?!無機物が嫌なら動物園のチンパンジーにでもお願いしてきなさいよ!!」
「チンパンジーなら動物園に行くまでもなく目の前にいますけどぉ~~?!」
「はぁぁ゛?!あのね、この間から人のことチンパンジーチンパンジーってアンタっ・・・!!」
ナス子が言いかけた言葉は最後まで紡がれることなく、おそ松の取った行動によって遮断された。
唇に当たる柔らかい感触。
いつの間にかおそ松の腕はナス子の頭と背中に回され、抱き込む姿勢になっている。
あまりに突然のことに、ナス子は抵抗するのも忘れ、されるがままの状態だ。
相手が抵抗してこないのをいい事に、おそ松は頭の角度を変え更に強く唇をナス子のそれに押し付ける。
「っ・・・!お、おそ」
状況をやっと理解したのか、ナス子が抵抗を見せようとおそ松の腕の中でもがきながら口を開くと、おそ松はまるでその瞬間を待っていたとでも言うように、かすかに開いた唇の隙間に自分の舌を押し入れる。
ビクリと小さく身体が跳ね、ナス子の抵抗がより一層強くなる。
「ぅ・・・んっ・・・っっっ~~~~~!!」
負けじとおそ松の腕にも力が入り、差し込んだ舌はナス子の口中を更に味わおうと深くへと潜り込んで行く。
飲み込みきれない唾液が、ナス子の顎を伝った。
だが、ノーマークだった相手の身体の部位から思わぬ攻撃が入る。
腕は振りほどけないと悟ったのか、ナス子はおそ松の足の脛を容赦なく蹴った。
「イ゛ッ・・・・・ってぇ!!!!」
あまりの痛さにナス子の拘束を解き、ソファの端に倒れこむおそ松。
蹴られた脛を抱え、涙目で訴える。
「ちょっ、蹴った?!蹴ったよこの人!!メチャクチャ痛いんだけど!!」
「~~~このっっ!!クソおそ松!!!いきなり何すんのよ!!!」
ゴシゴシと手の甲で口を拭いながら、こちらも涙目である。
「何って、キスだろ?!それくらいなんてことないんだろぉ?だったら別にいいじゃん!キスくらいで騒ぐなよっ」
「~~~~~そうじゃない!!この馬鹿!!アホ!!童貞ニート!!」