第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
「バ………バレてた……だと?!」
もう逃げ場も失い、青ざめていたナス子はまた逃げられると困ると言う理由から閉じ込められたまま話が進む。
最早暴れたって仕方がない為、ここは大人しくする事に決めた。
寧ろ、檻の中の方がまだ安全なのではないかとまで思う。
六人が檻の前に各々座り、彼女は格子を両手で掴んだまま、彼らのネタばらしに掴む手を震わせた。
「まぁ、ぶっちゃけ僕達はまだ確信してた訳ではないんだけどさ」
「銭湯に行った時に一松兄さんが言ったんだよ、ナス子姉はもしかして記憶が戻ってるんじゃないかって」
チョロ松、トド松の発言に愕然としてあの完璧な演技に対し何故バレたとばかりに一松の顔をじっと見るナス子。
表情を察して一松も説明を始める。
「なんとなく思ったのはトイレから戻って来た後かな、その前まではあった無意味に怯えたような空気がなくなってたって言うか……俺たちを見る目っていうの……? 普通の他人を見る目だったけど、その後は目の奥にクズを見ている闇の光が宿っているような気がする……ってね」
「闇の光ってなんぞ?! って、まぁいいか。でも何で銭湯から帰ってすぐに言わなかったの?」
普通に記憶の事で気になったのなら、すぐに家に帰った時に聞いてきてもおかしくはない。
なんだかんだシラを切った自分が言う事ではないにしても疑問が生まれる。
「そこはほらぁ、チョロ松も言ってただろぉ? 確信してた訳じゃないって。って事は……だ、もしまだ戻ってなかったら新しい記憶を擦り込むには今しかないでしょ! んははははは~」
「このクソ長男。隠してはいたけどさっき一松の言ったようにトイレの後には記憶戻ってましたけどね」
「そう、それね……。別に戻ってたら戻ってたでその方が俺らとしてはいいけど、とにかく証拠もないから様子を見てたんだよ。気付かなかったとは思うけどさ」
「一松、どういう事?」
様子を見られてた事なんて全く気付かず、コチラは六人全員が完全に騙されていると思っていた。
そう考えると演技を頑張っていた事が多少恥ずかしい。