第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
「え、わっ!! な、なにナス子姉」
肩に触れていた温もりが正面に変わって、優しいナス子姉の香りに包み込まれる。
「大丈夫、絶対に見つかる。ていうか見つけよ? 私、皆が見つかるまでずっとトド松と一緒にいるからさ」
ぼくを抱きしめているナス子姉は震えていて、ナス子姉だって苦しいんだなって簡単に伝わってきちゃうよ。
我慢していたぼくも、寂しさの限界からかナス子姉を抱き返す。
「………ほんと? 本当に、ずっと一緒に居てくれる?」
「うん、ずっと一緒にいるよ」
兄がいなくなってしまった寂しさの空間を埋めるかのように、ナス子姉の言葉と仕草、全てが穴を塞ごうとしてくれる。
「ねぇ、ナス子姉」
「なに、トド松」
「………」
ふと浮かんだんだ、その時。
兄さん達が見つかるまで……じゃなくて、もっと一緒に居て欲しいって。
急な感情すぎてぼくの脳はおいつかないけど、先に身体が反応してナス子姉と初めてのキスをした。
「……ト、トド松?!」
「…………見つかるまでじゃ、嫌だから。……ずっとって言うのはホントのホントにずっとって事にして欲しいな」
「それって」
鈍いよね、ナス子姉って。
キスしたのに気づかないなんて、でもそこがナス子姉の馬鹿で残念で可愛い長所でもあると思う。
「こんな時に言うのもなんだけどさ……ナス子姉の事」
ぼくが言おうとした言葉を、今度はナス子姉の顔が近づいて唇と唇で塞がれてしまう。
「えっ」
「トド松って鈍いの……? 私はずっと、トド松と居たいって……幼馴染以外の意味でも……思ってたよ」
<トド松回想終わり>