第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
<トド松 回想>
兄さん達が失踪して……どのくらい経ったんだろう?
ぼくは自分達の部屋の6畳間で、いつもは狭く感じる空間に広さを感じながらボケっとスマホを弄っている。
「トド松……入るよ?」
「ナス子姉」
兄さん達が何も言わずどこかに消えてから、ナス子姉は毎日仕事の前と言えど早起きしてぼくの顔を見に来てくれている。
「どう? 何か警察から連絡とか来た?」
ソファに座るぼくの隣に、ナス子姉が座ると、元気づけてでもくれるかのようにぼくに体重を預けてくる。
ナス子姉相手だし、嫌な感情は一つなく、逆にこの温もりが懐かしいって思った。
いつも誰かしらがいる部屋。
一人で寛いでいてもすぐに誰かが帰ってきてぼくを構い倒したりしてきてウザくて仕方なかった。
でもここ最近、そんな事は起こらない。
だって、居ないから。
そう考えるとナス子姉は、ぼくが寂しいと思っている事を察して毎日通いに来てくれてるんだと思う。
「ううん……色々探したり、張り紙なんかもしてるんだけど全く……おそ松兄さんなんか競馬場に乱入して馬に轢かれでもしたのかなと思ったけど、そんな事件もなかったみたいだし、多大な借金を作って逃げた痕跡もなかった」
「そっか……カラ松は、公園の池や釣り堀り辺りで足でも滑らせて魚にでも襲われたのかと思ったけど、その形跡もなかったよ。またネズミ講にでも引っかかったのかとも考えたけど、情報は何も」
「そう……チョロ松兄さんはアイドルオタク拗らせてとうとうストーカー行為で警察にもう捕まってるかも知れないと思って、一応それも聞いてみたけど……見つからなかった」
「ストーカー以外でチョロ松が捕まる事なんてないもんね……」