第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
お前に歌うぞ、と示すよう。
俺はナス子一人を見つめ、指を差す。
「……………か、カラ松!? なっ、だ、ダメだよ!」
場所があまりに遠くてなんと言っているかわからないが、大方止めようとしているのだろう。
しかしもう、俺の中に灯ってしまった火は限界で爆発寸前だ。
「ナス子……お前だけは、逃がさない」
スゥっと息を吸い込み、ずっとナス子に聞かせたいと思っていた特別な曲を、特別な場所で、特別な人物に捧げる。
俺にとっては最高で最大級のラブ・ソングだ。
カラ松ガール達から批判が漏れると思っていたが、それも杞憂だった。
なんせナス子は俺が有名になる前からマネージャーのような存在でファンとも仲がいい。
ただ、過激なファンもいない訳ではないので、今後は気を点けねばならない。
一通り歌い終えて、俺はゆっくりと涙ながらに口を押えるナス子に近づいて行く。
「わかって、貰えただろうか? 俺の…………熱く滾る、この想いに」
「……っ、馬鹿なカラ松。私なんかより、素敵な人だってこんなにいっぱいいるのに」
「お前程俺の理解者はいない。待たせて済まない、もう逃げないでくれ……俺にはお前が必要だ」
「もう!!! もうっ! ほんっと……放っておけないよっ」
<カラ松回想終わり>